廃棄物処理法の理解、現場任せになっていませんか?
事業活動から生じる廃棄物の管理は、「排出事業者責任」のもとで行う必要があります。
つまり、廃棄物を排出した企業自身が、最終処分まで法令に則って管理する責任を負っています。しかし実際の現場では、拠点ごとに担当者が異なり、法令を十分に理解した人材を配置することは困難。「委託先に任せきり」「担当が変わるたびに管理方法が曖昧になる」といった声も少なくありません。
とはいえ、管理不備はそのまま法令違反や罰則のリスクにつながります。
まず押さえたい「最低限の法令対応チェック項目」
廃棄物処理法に基づく基本的な遵守事項として、次のような確認が必要です。
- 委託先の許可証管理:許可証の有効期限(通常5年または7年)を確認し、常に最新のものを保持しておくこと
- 契約内容の整合性:排出している廃棄物の品目が、契約書・許可証の両方に記載されているか確認すること
- マニフェストの適正運用:A票交付から最終処分までトレースし、処理完了を確認すること
- 紙マニフェストの期限管理:交付後、法定期間内(90日など)に返送がなければ調査・報告すること
- 紙マニフェストの保管義務:5年間の保管すること
- 交付等状況報告書の提出:紙マニフェストを使用している場合は、年1回、都道府県に報告書を提出すること
たとえ排出量が少なく、年に数回しか出ない場合でも、これらの管理義務はすべての排出事業者に適用されます。委託先が対応をサポートしてくれることもありますが、責任の主体は常に自社にあることを忘れてはいけません。
“出したら終わり”ではない。廃棄物も自社の環境データ
廃棄物の収集運搬や処分を委託していても、法的な責任から排出事業者が免れることはありません。委託先が不適正処理を行った場合、「知らなかった」では済まされず、排出側も処罰対象となるケースがあります。
この「排出事業者責任」という言葉は、以前から廃棄物処理法に定められてきましたが、近年ではESGや環境データ開示の流れの中で、改めて認識・注目されるようになってきています。廃棄物情報は単なる業務データではなく、環境コンプライアンスと企業のサステナビリティ姿勢を示す“非財務データ”なのです。
紙か電子かより大切なのは「運用体制」
マニフェストの電子化(JWNETなど)は、ミス削減や業務効率化の観点で有効です。ただし、重要なのは紙か電子かではなく、どれだけ当事者意識を持って運用できているかどうかにあります。各拠点で内容を確認できる体制を構築すること、委託先との情報共有ルールを明確にすること、データの記録・保管方法を定めることなど、運用の仕組みを整備しなければ、どんな形式であってもコンプライアンスを担保することはできません。
担当者任せにしない“仕組み化”を
現場の担当者は異動や入れ替わりが多く、法令知識の引き継ぎが難しいのが現実です。そのため近年は、システムで法令遵守を仕組み化する企業が増えています。廃棄物管理システムを導入することで、先のチェック項目に挙げた部分をクリアすることができます。人に依存しない体制をつくることが、結果的にリスクマネジメントの最短ルートとなるのです。
まとめ:法令遵守の土台づくりが、企業の信頼を支える
廃棄物管理は、単なる事務作業ではなく企業のリスクマネジメントそのものです。「見えないから」「任せているから」といって放置すれば、法令違反の火種になります。拠点の状況を見える化し、正しく運用する仕組みを整えることが、これからの企業に求められます。
もし「自社の体制を一度見直したい」と感じたら、廃棄物管理システムを活用したコンプライアンスチェックから始めてみてはいかがでしょうか。
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