うさみんのサスティナブルだね〜資源循環を実現したい人達へ〜

  1. HOME
  2. JWNETとは?JWNETでできることと、できないことはどんなこと?

JWNETとは?JWNETでできることと、できないことはどんなこと?

JWNETとは?JWNETでできることと、できないことはどんなこと?

産業廃棄物を排出する企業は、運搬業者や中間処理業者に処理を委託するためにマニフェストを交付しなければなりません。

排出業者にとって、マニフェストは産業廃棄物が委託先で適正に処理されているかを確認するための大事な伝票です。

マニフェストには紙と電子形式の2種類があります。マニフェストの交付が義務化された当時、紙形式が一般的でしたが、現在では電子マニフェストを利用する業者も増加しています。

電子マニフェストを利用するために、事業者の加入する必要があるのが、JWNETと呼ばれる電子マニフェストシステムです。

電子マニフェストとは

マニフェストは、1993年に特別管理産業廃棄物、1998年にはすべての産業廃棄物について使用が義務付けられ、その当初から用いられているのが紙マニフェストです。一方、1998年に制度化された電子マニフェストは、マニフェスト情報を電子化することによって、ネットワーク上でのマニフェストのやりとりを可能にしました。

JWNETとはどんなもの?

日本廃棄物処理振興センター(JWセンター)が運営する電子マニフェストシステムをJWNETと呼びます。JWNETは、Japan Waste Networkの略称です。また、JWセンターは法の規定に基づき、日本で唯一の電子マニフェストの情報処理センターに指定されています。

産業廃棄物の排出や処理に関わる事業者は、情報処理センターであるJWNETのネットワークを介して電子マニフェストのやりとりを行います。

2018年10月には環境省が電子マニフェストの更なる普及拡大に向けたロードマップを策定するなど、電子マニフェストの普及を推進する動きは拡大傾向にあります。

電子マニフェストの登録数は過去最高に

JWセンターによると、2021年度における電子マニフェストの登録件数は35,846件で過去最高となっています。また、普及率は2012年度では30%程だったのに対し、2021年では72%に達しています。

出典:JWNET
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/regist/index.html

JWNETでできることは?

紙のマニフェストは記入漏れの恐れがあるほか、5年間の保管義務を課されているなど、排出事業者の事務作業が煩雑になりがちです。

マニフェストを電子化することによって、排出事業者は以下のメリットを享受し、仕事の効率化が期待できるでしょう。

マニフェスト管理

JWNETでは、マニフェストの発行、登録、保存などをすべてネットワーク上で行うことができ、効率的に管理できます。

紙マニフェストでは、産業廃棄物を排出する際排出事業者が同時にマニフェストを交付しなければなりませんが、電子マニフェストは排出日から3日以内に登録すれば原則として問題ありません。登録の操作方法についても、JWNETのホームページで説明されています。

また、紙マニフェストの場合、帳票は排出事業者が5年間保存しなければなりません。どのマニフェストをいつまで保管するべきか、管理も大変になるでしょう。一方で、電子マニフェストはJWNETによって自動的に5年間保存されるため、書類を保存する場所の確保や、紛失してしまう心配もありません。

ただし、電子マニフェストを利用するためには、排出業者だけでなく、収集運搬業者や処理業者も電子マニフェストを導入しなければならない点に注意が必要です。

運用中のミスを防ぐ

JWNETでは、システムによってマニフェストの必要事項を埋めなくては進めない仕組みになっています。そのため、項目の入力漏れを防げます。

また、廃棄物の各種処理工程の終了時には委託処理業者の終了報告が必要ですが、その報告有無がなされているかを確認できる機能があります。

処理を委託した廃棄物がどの工程まで進んでいるかや、どの工程の報告がされていないかが分かるため、遅れが発生した際に迅速に対応ができるようになります。

集計

各事業者は、JWNETにおいてマニフェスト情報の照会ができ、CSV形式でデータをダウンロードすることで、各種集計に用いることが可能です。

JWNETにはマニフェスト情報抽出申し込み機能もあります。これは、利用者が必要とする項目を選択することで、登録された多量な情報の中から指定された項目だけを抽出し、CSV形式で保存できる機能です。

マニフェスト情報の照会機能とマニフェスト情報抽出申し込み機能は、保存可能件数やデータの取得時間などに違いがあります。

|-|マニフェスト情報抽出申込|マニフェスト情報の照会|h
|照会対象の範囲|前日のマニフェスト情報|最新のマニフェスト情報|
|照会可能な(最大)期間|3ヶ月|12ヶ月|
|保存可能なマニフェスト件数|制限なし/申込|500件/回|
|CSVファイルの取得時間|1時間程度|即時|
|出力項目|利用者指定の項目|402/219/429項目他から選択|

出典:JWNET
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/faq/page_493.html

コンプライアンスの強化

排出事業者は、委託した処理業者が廃棄物を不適切に扱った場合でも、排出事業者として確認を怠った責任を問われ罰せられる可能性があるため、慎重に工程を確認しなくてはなりません。

ここまでで説明した機能もコンプライアンス強化に繫がりますが、JWNETでマニフェストを管理すると、廃棄物の処理に関わる「排出事業者」「運搬業者」「処理業者」の三者間でマニフェストを閲覧できるため、どの工程であっても廃棄物やマニフェストに対する不適切な扱いの抑制が期待できます。

JWNETではできないことは?

便利なJWNETですが、できないことや向いていないこともあるため、導入前にそれらも理解しておく必要があります。JWNETだけでは自社に必要な部分をカバーできない場合には、民間のサービスで可能になるかなど、更なる検討を進めましょう。

組織管理

組織において、独自に開発した既存の管理システムが存在し、それが紙マニフェストでの管理を前提としていた場合は、単にJWNETを介した電子マニフェストを導入するだけでは管理が二重になる恐れがあります。

また、本社とグループ会社がある組織構成の場合、産業廃棄物の管理体制に差異があると、どちらかがJWNETで管理しているデータをもう片方で随時取得することができない場合もありえます。

さらに、JWNETの収載項目以外を関連して管理している場合に、JWNETを参照するだけでは情報が不足する事態も起こりえるため、業務に支障が出ることも懸念されます。

許可証管理

JWNETには、収集運搬業者や処理業者が登録した産業廃棄物業の許可情報が掲載されており、随時閲覧できるようになっています。

この許可情報が記されている許可証には有効期限があり、紙マニフェストとJWNET共に期限更新が必要です。

一方で、JWNETそのものに期限管理を行う仕組みは供えられていません。自社はもちろん、処理の委託先が有効期限を順守できているか、各事業者は適宜確認する必要があります。

契約書管理

JWNETの運用元であるJWセンターは、電子マニフェスト事業の附帯業務として電子契約書の保管、閲覧・検索サービスを提供しています。しかし、契約期限そのものの管理や、許可証と契約書の整合性などに関してのチェックは利用する各事業者にゆだねられています。

JWNET登録外の業者の検索

JWNETで検索できるのは、すでにJWNETに加入し、電子マニフェストを使用している業者に限られます。

従って、産業廃棄物の委託先を探している業者が何らかの理由で登録外の業者を選定したい場合、JWNETは使用できないことになります。

まとめ

JWNETではできることもあればできないこともありますが、随時システムが更新されて処理能力や機能の強化が図られているため、今後、より便利なシステムになることが期待できるでしょう。

また、JWNETでできないことに関しては、民間のサービスと連携することで解決する場合も多いため、欲しい機能がJWNETにないとしても、電子マニフェストを導入する価値は大いにあるといえます。

年々、電子マニフェストを使用する事業者は増加しており、今後も益々普及することが想定されるため、現在、紙のマニフェストを使用している排出事業者の方は、近い将来で電子マニフェストの導入を検討してみるのがおすすめです。