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紙マニフェストの保存すべき帳票と保存期間は?紛失した場合はどうする?

紙マニフェストの保存すべき帳票と保存期間は?紛失した場合はどうする?

紙マニフェストの保存義務とは

マニフェストは、産業廃棄物の処理が適正に実施されたことを確認するための大切な管理票です。

産業廃棄物排出事業者は、産業廃棄物の処理をする際にマニフェストを交付する義務がありますが、作成さえすればそれで終わりというわけではありません。交付者の控えとなる帳票や、委託先の処理業者による工程が完了するごとに返送される帳票の保存が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則により義務付けられています。

排出事業者はどの帳票を保存する?

紙マニフェストはA票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票、E票の7枚綴りであり、排出事業者が保存するべき帳票はA票、B2票、D票、E票です。

A票は、排出事業者が産業廃棄物を収集運搬業者に引き渡す際、収集運搬業者の受領サインをもらった後に保管します。

以前はA票の保存義務はありませんでしたが、2010年の廃棄物処理法改正に伴い保存が義務化されたため、誤って破棄しないよう注意が必要です。

B2票は収集運搬業者が中間処理業者に産業廃棄物を引き渡した後、D票は中間処理業者による処理が終了した後、それぞれ排出事業者の元へ返送されることになるため、排出事業者はこれらを定められた期間で保存しなければなりません。

産業廃棄物の最終処分が終了すると、E票が最終処分業者から排出事業者に返送されます。これをもって、排出した産業廃棄物が適正に処分されたことの確認が完了します。

各帳票は返送から5年間の保存義務がありますが、返送期限が各帳票によって違うため、最後に返送されるE表の受け取りから5年間、全ての帳票をまとめて保存しておくのがおすすめです。

紙マニフェストの返送がされなかったらどうなる?

委託先の処理業者が排出事業者へ紙マニフェストを返送するにあたっては所定の期限があり、排出事業者には紙マニフェストが期限内に返送され、適切に処理がされているかを確認する義務があります。

紙マニフェストの返送期限と確認期限

紙マニフェストの返送期限や排出事業者による返送の確認期限は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の第八条により、下記の表のように定められています。

|事業者|返送帳票|返送期限|排出事業者返送確認期限|h
|収集運搬業者|B2票|引き渡し完了から10日以内|交付から90日n(特別管理産業廃棄物の場合は60日)|
|中間処理業者|D票|処理完了から10日以内|交付から90日n(特別管理産業廃棄物の場合は60日)|
|最終処分業者|E票|処分完了から10日以内|交付から180日以内|

出典:e-Gov法令検索

紙マニフェストの返送がない場合の措置

排出事業者は、紙マニフェストの返送が遅れている場合、その処理状況を返送確認期限以内に確認し、適切な措置をとらなくてはなりません。そして、状況を返送確認期限から30日以内に措置内容等報告書(様式第四号)をもって都道府県知事等に報告をしなくてはなりません。

紙マニフェストの返送が遅れる理由には、「各工程は正しく行われているが返送に時間がかかってしまった」などのほか、「産業廃棄物の性質により処理までに時間がかかり、排出事業者による返送確認期限内に間に合わない」などが想定されます。

仮にこれらが理由である場合は、適切な処理がされていることを確認の上、措置を講じる必要はなしとして措置内容報告書を提出します。

出典:東京都環境局/措置内容等報告書(様式第四号)

紙マニフェストを紛失した場合の対処法と処罰について

産業廃棄物が排出され、最終処分が終了するまでには長い時間を要することもあります。その処理過程のいずれかで手違いが生じ、マニフェストを紛失することも起こり得えます。

紙マニフェストを使っている事業者は、マニフェストを紛失する可能性を考慮し、紛失した場合の対処法を知っておくべきです。

紛失が発生した場合、処理の過程で各業者が保管している帳票をコピーして代用することになります。ただし、代用できるコピーには決まりがあることに注意しましょう。

もし排出業者がA票を紛失した場合、代用として収集運搬業者の控えであるB1票の使用が可能です。他の帳票に関しても、B2票の代わりはB1票、D票の代わりは中間処理業者の控えであるC1票、E票の代わりはC1票をコピーすることでそれぞれ補えます。

万が一マニフェストの紛失が発覚した際は、どのコピーが必要かを速やかに把握し、必要に応じて委託先の処理業者からコピーを送ってもらいましょう。

その際、紛失の経緯や措置内容を合わせてメモしておけば、後々何らかの説明が必要となった際に概要を把握しやすくなり、再度誤って破棄することの予防にも役立ちます。

罰則となる可能性があるのはこんな時

マニフェストの不交付や虚偽記載、報告義務違反、保存義務違反など、マニフェストに関わる義務を果たしていない排出事業者や処理業者は、刑事処分が科せられます。

紙マニフェストの紛失に関しても、適切な対応をとらない事業者は罰則を科される可能性があることを認識しておきましょう。

例えば、紙マニフェストの紛失を認識していながら放置した場合、事業者は保管義務違反となります。マニフェストに関する罰則は、2018年以前は6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金でしたが、現在では1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に厳罰化されています。

過去には、自社の帳簿で管理しているため紙マニフェストは不要と勝手に判断し、廃棄した企業が書類送検された事例もあります。

また、紙マニフェストの紛失に伴い排出事業者がそれを再交付することも厳禁です。

仮に再交付を行った場合一回の廃棄物処理に2通の紙マニフェストが存在することになり、行政による検査などにおいて、実際の処理依頼内容とは異なる虚偽の交付を行ったと見なされる可能性があります。

加えて、再発行後に元の紙マニフェストが見つかったためそちらを廃棄し、再発行分だけを残すといった行為も、保管義務違反にあたるため注意が必要です。

まとめ

産業廃棄物排出事業者には、マニフェストをもって産業廃棄物が正しく処理されているかを管理する義務があり、紙マニフェストの場合は一部の帳票を保存する必要があります。

また、帳票を保存するためにも紙マニフェストの返送を確認する義務もあり、その返送がなされない場合には必要な措置を講じることに加え、措置内容等報告書を用いて都道府県知事等に報告しなくてはなりません。

このほかにも、排出事業者には多くの義務が課せられています。産業廃棄物を正しく処理するためにも、社内でマニフェストの管理方法をしっかり決めておくと良いでしょう。

なお、今回は紙マニフェストを用いた例を前提に解説しましたが、電子マニフェストの場合は登録に際してデータが別途保管されるため、社内で5年間保存する必要はありません。

また紙マニフェストと違い、月や年度別に分けてまとめたり保存場所を確保したりするなど、管理の手間や紛失する不安がないため、電子マニフェストの導入を進めることでより効率的にマニフェストを管理できます。

現在電子マニフェストは一部義務化されており、今後もその使用が一般的になってくると予想されます。紙マニフェストでの運用を続けている事業者は、電子マニフェストの導入も視野に入れておくと良いでしょう。