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紙マニフェストと電子マニフェストのメリットと大きな違いは?

紙マニフェストと電子マニフェストのメリットと大きな違いは?

日本におけるマニフェスト制度の始まりは1990年代にさかのぼり、 1993年には特別管理産業廃棄物、1998年にはすべての産業廃棄物にマニフェストの使用が義務づけられました。

マニフェスト制度の開始時から現在に至るまで紙マニフェストが使われていますが、1998年には電子マニフェストの運用が開始され、現在ではどちらのマニフェストを使うか選択できます。

ただし、PCB廃棄物を含まない特別管理産業廃棄物多量排出事業者の場合は、2020年4月より電子マニフェストの使用が義務化されているほか、電子マニフェストの導入が優良産廃処理業者認定制度の認定基準になっていることに鑑みて、今後は電子マニフェストの義務化が進む可能性も考えられるでしょう。

今回は、紙、電子マニフェストそれぞれの特徴や違いについてと、メリットデメリットを解説します。

紙マニフェストと電子マニフェストの違いとは?

マニフェストは紙も電子も目的は同じですが、下記のように運用方法や運用時のルールにも違いがあります。

紙と電子マニフェスト運用方法の違い

紙マニフェストは、文字通り紙(帳票)でのやりとりになります。発行されてから産業廃棄物が最終的に処分されるまで、マニフェストは産業廃棄物と共に各事業所をわたり、各工程における処理の終了は複数の帳票のやりとりで把握しなければなりません。

電子マニフェストはネットワーク上で情報をやりとりするため、登録や処理終了の報告もネットワーク上で完結します。

なお、マニフェストの運用を紙マニフェストから電子マニフェストへ切り替えた場合、発行済みの紙マニフェストを電子化することはできないため、一定期間は紙マニフェストと電子マニフェスト両方の管理運用が必要です。マニフェストの切り替え時には、運用方法の違いに注意しましょう。

ルールや義務

どちらのマニフェストも運用の流れは基本的に同じですが、発行や報告のタイミング、義務に違いが見られます。

紙マニフェストの場合、排出事業者が収集運搬業者へ産業廃棄物を引き渡すと同時に発行しなければなりませんが、電子マニフェストを使用する場合、収集運搬業者や処理業者は業務が終了した日から3日以内にJWNETへ登録すれば問題ありません。

また、収集運搬業者や処理業者は紙マニフェストの場合、それぞれ処理が終わってから10日以内に必要事項を記入して適切な帳票を排出事業者に返送しなければならない一方、電子マニフェストでは収集運搬業者や処理業者は、業務が終了した日から3日間以内にJWNETで報告する必要があります。

発行や報告タイミングだけではなく、紙マニフェストの場合は各帳票に保存義務があるほか、都道府県知事等への報告義務もマニフェストの種類によって異なります。

紙マニフェストと電子マニフェストの規則を混同してしまい果たすべき義務を果たさなかった場合、処罰が適用される可能性があるので、それぞれの違いをしっかり把握しておきましょう。

紙マニフェストのメリットとデメリットとは

環境問題や業務効率化の観点より、昨今では様々な局面でペーパーレス化が進んでいるものの、紙マニフェストにもメリットはあります。

紙マニフェストのメリット

紙マニフェストはパソコンなどデジタル機器の取り扱いが苦手な人でも運用できます。また、導入費用は帳票の購入のみで、電子マニフェストシステム(JWNET)を利用するために必要なコストもかかりません。

アナログで発行から運用・保管まで行うため、インターネットの不具合やシステム障害の心配もない点もメリットです。

紙マニフェストのデメリット

人間が手書きで記入する以上、記載事項の間違いや記入漏れなどのミスを犯す可能性があります。

平成30年4月1日に施行された改正廃棄物処理法では、マニフェストに関する罰則が強化されており、排出事業者は、マニフェストの交付時に記載事項の間違いや記入漏れがないよう慎重にならなければなりません。

また、紙マニフェストには紛失のリスクもあります。排出事業者が交付したマニフェストは、収集運搬業者や処理業者にわたった後、排出事業者に返ってきますが、この流れのいずれかで紛失が生じてしまうことも考えられるでしょう。

加えて、事業所内におけるマニフェストの不適切な管理も紛失の原因となり得ます。

さらに、マニフェストは5年間の保存が義務づけられており、紙の場合は管理方法や保存スペースの確保にも気を配る必要があります。

ほかにも、紙マニフェストを交付したすべての排出事業者は、年に1回、交付状況を都道府県知事等へ報告する義務があるなど、管理の徹底にも留意しなくてはなりません。

出典:環境省/平成29年改正廃棄物処理法について

電子マニフェストのメリットとデメリット

昨今、産業廃棄物を取り扱う業界でも電子マニフェストが普及してきており、JWNETに登録する事業者の件数も年々増加しつつあります。

一方で、電子マニフェストにもメリットとデメリットがあるため、そのそれぞれについて把握しておきましょう。

電子マニフェストのメリット

電子マニフェストの入力操作は簡単に行うことができ、入力漏れがあると登録や報告ができないシステムになっているため、ミスの防止に役立ちます。

マニフェスト情報は、情報処理センターで管理されており、排出事業者、収集運搬業者、処理業者が閲覧できる状態にあるのが特徴です。これら三者の目があるため、不適切なマニフェストの登録や報告が防止され、データの透明性を保てます。

JWNETの利用により、排出事業者は廃棄物の処理状況を把握できるだけでなく、各工程の処理が終了した時には電子メールの通知を受け取れるほか、報告期限が迫ると注意喚起して報告漏れを防ぐため非常に利便性が高いといえるでしょう。

また電子マニフェストは、情報処理センターにて5年間保存されるため、各自で保管しておく必要はありません。保管するために印刷したりデータをパソコン内で保存したりする必要もなく、事務作業の負担は紙マニフェストに比べて軽減されます。

加えて、紙マニフェストで義務づけられている都道府県知事等への交付状況の報告も不要です。紛失の心配もないため、法令遵守の面でも電子マニフェストは有用でしょう。

電子マニフェストのデメリット

電子マニフェストを導入するにあたって、デバイスやインターネット環境がない事業所の場合、環境を整えるところから準備する必要があるため、導入費用が必要であり、JWNETを運営する日本産業廃棄物処理振興センターに料金を支払う必要もあります。

費用面のほか、電子マニフェストにはシステム障害のリスクも考慮しなくてはなりません。ただし、過去にシステム障害が認められた際には各種期限の延長措置が取られた場合もありますので、慌てないよう緊急時のマニュアルを作成しておくと安心です。

まとめ

紙マニフェストと電子マニフェストにはそれぞれメリットとデメリットがあり、現在は排出事業者の都合に合わせてどちらかを選べます。一方で、昨今では作業効率面やコンプライアンスの強化を考えて電子マニフェストを導入する排出事業者が増加傾向にあります。

コストや教育、人的な面で、電子マニフェストの導入はハードルが高く感じられる排出事業者の方も少なくないかもしれませんが、それ以上に電子マニフェストには利便性やミス防止、管理等の面で紙マニフェストを上回るメリットがあるといえるため、導入の価値は大いにあるでしょう。

導入方法や使用方法は、研修で学べることもあるため、紙マニフェストを使用している排出事業者は、電子マニフェストの導入を前向きに検討してみることをおすすめします。