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「廃棄物処理法」と「条例」の関係は?どちらが優先?

「廃棄物処理法」と「条例」の関係は?どちらが優先?

産業廃棄物を排出する事業者には、法律や条例のもとで適正に処理を行う義務があります。その遵守に対する社会の目も厳しさを増しており、仮に違反して処分を受けるようなことがあれば、事業に悪影響が及ぶことは避けられません。

こうした事態を未然に防ぐべく、今回は廃棄物処理法と条例の概要、ならびにそれぞれの関係について解説します。

廃棄物処理法とは?

廃棄物の処理に関し詳細を定めている廃棄物処理法は、正式には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」といい、一般には「廃掃法」とさらに略して呼ばれることもあります。

廃棄物の排出抑制と適正な処理、良好で清潔な生活環境の維持を目的に制定されたもので、環境省所管の法律です。この法律では、廃棄物を産業廃棄物と一般廃棄物に分類しており、うち産業廃棄物は排出事業者が処理責任を持つこと、そして、事業者自らか、または書面による契約で委託を受けた許可業者が処理することとされています。

なお、産業廃棄物は20種類が規定されており、中でも爆発性や毒性があり人々の生活に危険を及ぼす可能性が高いものは特別管理産業廃棄物と呼ばれ、より注意深い扱いが求められます。

法律には排出事業者の責務や運搬処理・保管方法、基準、委託方法などが細かく定められ、違反した場合の罰則についても規定されています。

法律違反をするとどうなる?

廃棄物処理法には厳しい規定が設けられており、違反するとその不法行為に応じた罰則が科せられます。

定期的に立入検査や報告徴収が行われ、違反事項が認められた場合には行政指導として口頭指導や担当者名指導票の交付、文書通知や改善計画書の提出といった処分が下り、その後は是正確認や経過観察等が行われます。

これらの指導や処分に対して適切に応じず、また改善が認められない場合には、改善命令や措置命令等の行政処分、施設や事業の停止、認可等の取消処分等のほか、措置命令違反での刑事告発がなされる恐れもあるのです。

仮にこのような事態が生じれば社会的・対外的信用の失墜は避けられず、場合によっては事業の継続が危ぶまれることも考えられるでしょう。

廃棄物・リサイクルに関する条例は?

産業廃棄物の排出事業者は、廃棄物処理法のみならず自治体がそれぞれ定めている条例についても同じく把握しておく必要があります。

条例とは

「法律」が国会の議決によって制定されるものであるのに対し、「条例」は都道府県や市町村等、各自治体の議会がその議決によって制定するものです。

全国100以上の都道府県及び政令市が、産業廃棄物を管轄する権限を有し、法律に上乗せするかたちで独自の条例を制定しています。

産業廃棄物に関する条例の例

条例は、その自治体区域内の行政事務で、国の事務に関しないものについて制定することができます。

各自治体の産業廃棄物に関する条例について一例を挙げると、「実地確認の義務」というものがあります。

例えば北海道では「北海道循環型社会形成の推進に関する条例」第5章第32条にて

事業者は、その事業活動に伴って生じた産業廃棄物の処分(再生を含む。以下この条及び第39条第2項第1号において同じ。)を1年以上にわたり継続して産業廃棄物処分業者(廃棄物処理
法第14条第6項の許可を受けた者及び廃棄物処理法第14条の4第6項の許可を受けた者をいう。以下同じ。)に委託するときは、毎年1回以上定期的に、規則で定めるところにより、当該委託に係る処分の実施の状況その他の規則で定める事項を確認し、その結果を記録しなければならない。

引用:北海道循環型社会形成の推進に関する条例

と定められています。

つまり、廃棄物処理法において実地確認は努力義務ですが、北海道の排出事業者は産業廃棄物の処理を1年以上の期間で委託した場合、年1回以上の実地確認とその結果を記録する義務が生じるということです。

条例違反をするとどうなる?

条例は法律と同じく、違反者に対し罰則を制定することも可能です。

地方自治法第14条3項には、

「その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。」

引用:e-Govポータル

とあり、これに基づいた処分が認められているためです。

よって条例に違反すると、2年以下の懲役・禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料もしくは没収または5万円以下の過料という上限はありますが、規定の罰を受ける可能性があります。

廃棄物処理法と条例の優先順位とは?

各自治体が産業廃棄物に関する条例を設けている場合、それらは廃棄物処理法を補ったり、地域の実情に合わせてより適正に運用したりするためだと考えられます。

これに伴い、法律に反しない範囲でそれよりも厳しい、またはそれにはない規制が設けられている場合もあるため、事業の各工程が法律と条例の両方に則しているかは必ず確認しましょう。

例えば、北海道の排出事業者が「実地確認の義務」を怠った場合、法律違反とはなりませんが、条例違反として罰則の対象となります。

すなわち、廃棄物処理法と条例は遵守にあたって優先順位をつけられるものではないことに注意が必要です。

まとめ

廃棄物処理法の定めに基づく形で、自治体によっては産業廃棄物に関する独自の条例が制定されている場合があります。

排出事業者や処理事業者は、事業に関わる法律と、事業所ならびに現場の位置する自治体の条例、そのどちらをも把握し遵守することが不可欠です。

仮に条例の確認が不十分で違反してしまった場合でも、法律と同じく罰則対象となります。特に事業所の移転や新しく事業を立ち上げた際には、細かく確認する必要があるでしょう。

法律に基づく適正な処理を行うことはもちろんですが、事業を継続する中で新たに制定された条例はないか、改正や施行となった条例はないか等も、見落とすことのないよう注意し、意図せぬ違反がないように細心の注意を払いましょう。