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サーキュラーエコノミー時代のスタンス:ISO規格×ビジネス評価枠組みから読み解く“どう臨むか”

サーキュラーエコノミー時代のスタンス:ISO規格×ビジネス評価枠組みから読み解く“どう臨むか”

サーキュラーエコノミーとは何か

「サーキュラーエコノミー(CE)」とは、従来の「取る→作る→使う→捨てる」という線形モデルを脱し、資源の再利用・再設計・再生を通じて価値を循環させる経済モデルです。
近年では、単に「リサイクル」や「廃棄物削減」という狭義の意味から、資源・産業構造・ビジネスモデル・価値ネットワークそのものを再設計する広義の変革として捉えられています。
さらに、2024年5月には ISO が「ISO 59004:2024 Circular economy — Vocabulary, principles and guidance for implementation」 を発行し、CEに関する用語、原則、実践ガイダンスが体系化されました。 このように、CEという概念は定義拡充・制度化のフェーズに入っており、企業にとっては「何をやるか」だけでなく、「どのように評価・報告・改善サイクルを回すか」が重要になっています。

規格・枠組みの最新動向

ISO 59000シリーズ

ISOは、CEに関する国際標準規格群「59000シリーズ」を展開しています。

  • ISO 59004 — 用語・原則・実践ガイダンス
  • ISO 59010— ビジネスモデル・価値ネットワーク移行ガイド
  • ISO 59020 — 循環性(circularity)測定・評価ガイド
  • ISO 59020:2024 — 循環性(circularity)測定・評価ガイド

また、2025年には「ISO 59040:2025 — 製品循環データシート(Product Circularity Data Sheet)」などが発行予定とされています。
このように、CEは「定義 → モデル移行 → 測定・評価」の流れで規格化が進み、企業が取り組みを体系化・比較可能にする基盤が整いつつあります。

GCP(Global Circularity Protocol)との関連

企業側の報告・評価枠組みとして、Global Circularity Protocol (GCP) が注目されています。これは World Business Council for Sustainable Development(WBCSD)および One Planet Network が中心となって、企業がCEに関して「目標設定・測定・報告・開示」に使えるハーモナイズされた枠組みを作ろうというものです。
GCPでは、2025年末(COP30)を一つのローンチタイミングとしており、企業がCE対応の進捗を示すための共通言語・指標・報告枠を準備中です。
このように、規格(ISO)と報告・評価枠組み(GCP)は、CE対応を「測れる・比較できる・改善できる」ものにするための両輪といえます。

企業・事業者が“どう臨むか”の視点

CEへの取り組みは、業界・事業内容・規模によって優先すべきテーマや手法が異なります。よって、「何をやるか」はもちろんですが「どのようなスタンスで臨むか」が重要です。以下に共通して意識すべき4つの視点を示します。

視点①:定義と測定から入る姿勢

CEではまず、「何をもって循環しているとみなすか(リユース比率/リサイクル率/製品寿命など)」を明確にする必要があります。ISO 59004 は「用語・原則」を定めており、GCPは「企業が測定・報告すべき枠組み」を提示しています。

視点②:ビジネスモデルやバリューネットワークを見直す

製造→流通→回収という価値連鎖を改め、サービス化・長寿命化・素材再利用などのモデル転換が鍵です。ISO 59010 がこの領域をガイドしています。

視点③:測定・改善サイクルを回す

数値化・可視化なしには改善が進みません。ISO 59020 や GCP 指標を活用しながら、定期的なレビュー・改善の仕組みを構築すべきです。

視点④:ステークホルダー・価値連鎖全体を意識する

循環型価値は自社のみならず、仕入先・販売先・回収ルート・再生材サプライヤーも含みます。「自分ごと」でなく「ネットワークごと」で俯瞰する視点が求められます。

このようなスタンスを持つことで、業界や規模の違いを超えて、CE対応を「形にする」ための基盤が整います。

まとめ

サーキュラーエコノミーは、資源を「捨てない」だけでなく、産業を「循環させる」発想です。ISO 59000シリーズの規格化、GCPによる報告枠組みの整備という二大潮流を背景に、企業がCEに取組む姿勢は従来の「脱炭素」以上に変化を求められています。
重要なのは、実施すべき施策を羅列することではなく、定義・測定・価値モデル・ネットワークという視点を持って、循環型への転換を設計し、評価し、改善し続けることです。
今後、CE対応に成功した企業・事業が、競争優位を築く時代がやってきています。