うさみんのサスティナブルだね〜資源循環を実現したい人達へ〜

  1. HOME
  2. ISO14001とは

ISO14001とは

ISO14001とは

SDGsへの取り組みを行う企業の増加によって、環境マネジメントシステムを仕組みとして組織に取り入れることのできるISO14001という規格が注目されています。

ISO14001認証は、取得することで対外的なブランド力の向上につながるため、導入を考えている経営者の方も少なくないでしょう。本記事では、ISO14001の認証の取り方や、ISO14001の認証取得によるメリットデメリットを解説していきます。

社員の環境リスクに対する意識向上にもつながるため、今回の記事を参考にぜひ検討してみてください。

環境の規格「ISO14001」とは?

ISOとは、スイスに本部がある国際標準化機構(International Organization for Standardization)の頭文字をとった略称です。国家間の取り引きをスムーズに行えるよう、国際的な標準規格を定める活動をしています。

数ある国際規格の中でもISO14001は「環境マネジメントシステムの国際規格」として制定されています。ISO14001の特徴と、要求事項の構成について見ていきます。

ISO14001は環境マネジメントシステムの国際規格

森林伐採や環境汚染、地球温暖化など国際的な環境リスクは実にさまざまです。ISO14001は、このような環境リスクを軽減する仕組み作りを組織運用の観点からサポートするという目的で制定されました。

「環境」という用語に関しては、環境汚染などの意味合いのほかに、企業を取り巻く「環境」の意味も含まれています。社内の従業員や株主、地域や取引先など全てを含めて影響を考えていく必要があります。

廃棄物排出事業者としてISO14001の認証を取るには、事業内容において環境問題に対して高い意識で取り組んでいることを証明する必要があります。マネジメントシステムとしての認証であるため、仕組み作りに対する活動が求められます。

ISO14001を取得するための11の手順

ISO14001は次に挙げる11項目の要求事項で構成されています。

1.環境方針、環境目標の作成
2.文書構築(マニュアル、手順書等)
3.帳票整備
4.運用+運用記録作成
5.内部監査
6.マネジメントレビュー
7.是正処置
8.第一段階審査
9.第二段階審査
10.是正処置(該当する場合)
11.認証取得

それぞれの工程について解説します。

適用範囲~用語及び定義まで
ISO14001に取り組むにあたっての事前知識です。認証取得に取り組むチーム内はもちろんですが、関連するステークホルダ含めての共通認識として、理解しておく必要があります。

組織の状況、リーダーシップ
自社の課題出しのフェーズです。適用範囲を明確にしてマネジメントシステムを構築し、環境に対する自社の課題を洗い出します。適用範囲を考慮したうえで、ISO14001の取り組みに対してだれがリーダーシップをとるのかを明確にし、責任の所在を関係者含めて共有します。

計画、支援
PDCAのP(Plan)にあたるフェーズです。企業活動の環境への負担を分析し、どういうアプローチを経て軽減していくのかを計画立案します。従業員の教育も含めてリソースを明確にし、管理します。

運用
PDCAのD(Do)に当たるフェーズです。具体的な行動目標に落とし込んで、目標達成に向けて行動に移します。

パフォーマンス評価、改善
PDCAのC(Check)とPDCAのA(Action)にあたるフェーズです。運用した内容を評価し、改善につなげていくフェーズです。

認証取得におけるメリット及びデメリット

ISO14001の認証取得は多くのメリットを享受できますが、デメリットも少なからずあります。排出事業者にとってどのようなメリット及びデメリットがあるかについて解説していきます。

メリット

ISO14001の認証を取得したということは、環境マネジメントシステムの組織体系を構築したことを第三者認証機関によって認められたということです。この認証によって、排出事業者にとっては次のようなメリットがあります。

・企業ブランドのイメージアップ
・企業活動の多方面へのアピール
・社員の環境に対する意識の向上
・環境リスクの長期的なヘッジとなる
・業務改善による利益の向上

ISO14001の認証をとることで、社内の組織が確立されていることがアピールできますので、信頼が増し顧客から選ばれやすくなります。また、「ISO14001認証取得」という名目のもとに、排出事業者の環境への活動を多方面へアピールしやすくなります。

環境についてPDCAサイクルを通して常に考えるようになるため、社員の意識向上につながり、社員のスキルアップを通して環境に関連した新しい事業へと発展していく可能性もあります。

そして企業全体として長期的な環境リスクを考えた事業提案ができるため、結果として環境リスクの損害を軽減することができます。

また、マネジメントシステムに第三者機関の監査が入るため、第三者目線で業務改善が行われることにより、柔軟な考え方をもって利益率の向上につなげることができます。

デメリット

まず挙げられるのは「コストの増加」です。前述の通り、ISO14001は登録審査費用として50~100万円の費用がかかるほか、維持・更新にも都度費用がかかります。環境マネジメントシステムに対応するための負担も大きく、従業員の工数増加につながります。

PDCAサイクルを回すことで業務改善にはつながっていきますが、結果が現れるまでは時間を要します。初期コストに耐えられるかどうかが重要なポイントとなります。ISO14001が社内に定着しないままコストだけが増加し、認証を返上する企業も一定数あるのが現実です。

エコアクション21との違い

エコアクション21は環境省が定める日本独自の規格です。内容自体は環境マネジメントシステムの制定であり、PDCAサイクルの手法を基礎とするなどISO14001と共通する部分は多くあります。

ISO14001は国際規格、エコアクション21は国内規格という大きな違いのほかに、次のような違いがあります。

・認証取得範囲
・審査の方式
・審査費用

認証取得範囲

ISO14001は企業単位ではなく、部署や事業所など単位を柔軟に変更することができますが、エコアクション21は企業単位での取得が求められます。

審査の方式

審査方式はそれぞれ次のような頻度となっています。
・ISO14001 →3年ごと(年に1度の維持審査2回を経て更新審査)
・エコアクション21 →2年ごと(認証の1年後に中間審査)

ISO14001の維持審査については、全項目の審査ではなく全体の50~60%程度が対象ですが、更新審査では全ての項目が審査対象となります。

審査費用

ISO14001とエコアクション21では審査費用が大きく異なります。第三者認証機関や企業の規模によっても異なりますが、エコアクション21と比較しておおよそ2~3倍程度の費用がISO14001認証には必要となるため注意が必要です。

出典:JQA日本品質保証機構/ISO14001(環境)
出典:持続性推進機構/エコアクション21認証・取得に向けて

まとめ

ISO14001はPDCAサイクルの手法を用いた環境マネジメントシステムの規格です。10項目からなる要求事項に沿って組織の仕組み作りを行う必要があり、項目を満たしているかどうか第三者認証機関による審査があります。

認証を取ることで排出事業者としての信頼度の向上につながる一方で、審査費用や社員の教育など、継続的なコストを要することがデメリットとしてあります。

環境に対する意識を高めることで、将来的な環境リスクに備えた経営を行うことができます。排出事業者としては、環境問題に対して社員含めて意識を高くもって取り組む必要があります。ISO14001の認証取得を目指してみてはいかがでしょうか。