社会インフラを運用する責任としての環境対応――不動産運用における廃棄物管理高度化の現在地
みずほリートマネジメント株式会社 天野様
不動産運用は、建物という社会インフラを長期にわたり手がける事業です。上場不動産投資信託(Jリート)であるOneリート投資法人の資産運用を担う立場として、環境対応やサステナビリティへの責任をどのように果たしていくのか。今回は、不動産運用の現場で進められている廃棄物管理の高度化について、CBA wellfest導入の背景や実務面での変化、そして今後の展望を伺いました。

不動産は社会基盤。環境対応は「やるかどうか」ではなく「どうやるか」
不動産は、私たちの生活や事業活動を支える社会インフラの一部です。その運用を担う資産運用会社として、持続可能な社会の実現に貢献する責任があると認識しています。
GHG排出削減や環境情報の開示についても、ステークホルダーと連携しながら取り組むことは、運用会社として当然の前提だと考えています。
投資家の皆様、特に機関投資家の皆様はサステナビリティへの関心が非常に高いです。中でもカーボンニュートラルをはじめとする気候変動関連のテーマが注目を集めています。カーボンニュートラルを達成するためには、廃棄物由来のGHG削減にも取り組む必要があります。2050年のカーボンニュートラル達成を見据えれば、廃棄物管理の重要性は今後ますます高まっていくと感じています。
KPI設定から始まった廃棄物管理の「整理」と標準化
廃棄物管理について、当社は2022年にKPIを設定し、統一的な廃棄物管理体制の構築に向けた取り組みを始めました。当初は、排出実績のエビデンスが十分に整理されておらず、PM会社様からのヒアリングをもとに年に一度集計する方法が中心でした。従来の運用ではそれが現実的な限界だったと考えています。
しかし、多数物件をポートフォリオとして管理し、外部評価にも対応していくためには、より継続的で信頼性の高いデータ管理が必要不可欠です。
廃棄物は行政や処理業者ごとに名称や区分が異なるため、GHGやエネルギー、水と比べても標準化が難しい領域です。そのため、CBA wellfestを導入するにあたり、まず各物件の管理実態を整理・棚卸しし、共通の整理軸を定義するところから着手しました。運用設計の段階から「どのように使えば現場に定着するか」「どの情報を優先的に整理すべきか」といった実務的な観点についても整理しながら検討を進めました。実務フローを踏まえた形で検討を重ねることで、単なるルール整備にとどまらず、実効性の高い管理体制が構築できたと感じています。
「常に把握できる体制」を整え、一歩前進
その後、CBA wellfestを導入してから、最も大きな変化を感じているのは「状況を継続的に把握できる体制」が整ったことです。
以前は、必要なタイミングで都度データを集めて確認する運用でしたが、現在は情報が順次集約されるため、全体像をタイムリーに確認することが可能になりました。
全拠点での本格運用を開始してからまだ1年未満のため、現時点では外部評価などにおいてこのシステムを活用した実績があるわけではありません。ただ、今後のGRESB評価や第三者保証の取得などを見据えた際に、「どのデータが、どの粒度で揃っているのか」を把握できていること自体が、非常に大きな意味を持つと感じています。
年に一度の集計から、常にウォッチできる体制へ移行できたことは、業務効率の面だけでなく、運用の高度化という観点でも重要な一歩であると考えています。
可視化の先にある、資源循環と運用高度化への展望
現在は、廃棄物の可視化という基盤を整えた段階にあります。今後は、リサイクル率向上や資源循環の推進、さらには脱炭素やコスト削減への取り組みを進めていくことが重要だと考えています。
不動産の運用現場では、一般廃棄物の占める割合が大きく、必ずしもマニフェスト管理を前提とした運用が行われているわけではありません。そのため、画一的な正解があるわけではなく、どの領域から、どの水準まで取り組むことが実効性につながるのかを見極めながら進めることが求められます。
だからこそ、現行のルールに縛られるのではなく、今後の環境関連制度のアップデートや投資家様からの要請の変化を注視しつつ、廃棄物管理を経営や投資判断に活かせるレベルまで段階的に引き上げていくことが重要だと考えています。今回の取り組みを通じて、その土台ができたと確かな手応えを感じています。